OECDの解雇規制の数値
日本の正社員をクビにするのは世界で一番難しいと主張する人が見る幻覚: ニュースの社会科学的な裏側
と
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の内容に関して。
俺が見てたのは
http://www.oecd.org/els/emp/Updated%20time%20series.xls
で、uncorrelatedさんや(たぶん)ignioさんが見てたのは
http://www.oecd.org/els/emp/EPL-timeseries.xlsx
の資料。
比べてみると、なんと肝心の2008年の数値が異なっているではないか。
(なぜ「肝心」かというと、大元の記事で根本氏が挙げているのが2008年のデータだから。)
REG8の値が、前者では6、後者では2となっている。
これでは議論も混乱するはずだ。
どちらが正しいのだろう?
俺の判断では前者が正しい。
少なくとも最初にデータが出された時点では、2008年の日本のREG8の値は6だったと思われる。
根拠はまず
http://anond.hatelabo.jp/20131222145818
REGULAR3_v3の構成要素の内で日本の数値を引っ張りあげてる要素は2つ。
REG8 Possibility of reinstatement following unfair dismissal(不当解雇からの復職の可能性)
REG9 Maximum time to make a claim of unfair dismissal(不当解雇へのクレーム申し立ての最大猶予期間)
REG8が2だとしたら、「数値を引っ張り上げる」ことにはならない。
もう一つは
http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2010/01/post-abc5.html
REGULAR3_v1の値が示されており、日本は3.25となっている。
REGULAR3_v1 = (REG5 + REG6 + REG7 + REG8) / 4
であるから、
3.25 = (2 + 4 + 1 + REG8) / 4
13 = 7 + REG8
REG8 = 6
となる。
すなわち2008年の数値については前者のデータが正しいので、「OECDで世界一」というのは、「幻覚」とは言えまい。
ただしそれをどう評価するかはまた別である。
その点については
http://anond.hatelabo.jp/20131219213550
に書いた。なんとなく匿名ダイアリーに書いたが、俺の記事である。
ちなみに、城繁幸の議論のような「解雇の難しさ」という言葉の印象に頼ったフレームアップが無意味な理由は、
http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2013_11/oecd_01.htm
の(10)でわかりやすく解説されている。
また、REG9の値が高いことからくる表面上の「解雇の難しさ」がほぼ無意味であることも、(7)で示されている。
本件に興味を持たれた方には一読をおすすめする。