森友学園問題:「ゼロ回答」についてもう一点
ゼロ回答論批判として広く人口に膾炙しているのがこの記事だと思う。
ゼロ回答ではなく、「口利きの顛末」を報告した文書~安倍夫人付き政府職員発のFAX~: 醍醐聰のブログ
こちらではこれまで本ブログで触れてこなかった、「3) 土壌汚染や埋蔵物の撤去期間に関する賃料の扱い」について、
売却時の価格に言及~国有財産の売却に安倍夫人が関与した証拠~
とみなしている。
いわく、
ここで注目されるのは、定期借地契約で謳われた買受特約を将来、森友学園が行使する場合、埋蔵物の撤去費用は買受価格から差し引かれることを籠池氏側に、この政府職員が伝えている点である。
安倍夫人付きの政府職員が安倍夫人に寄せられた籠池氏の依頼を受けて財務局国有財産審理室長に問い合わせをした結果を籠池氏に伝えた文書の中で、将来の買受価格の算定に関する財務省の考え方が含まれていたことは、昭恵氏の関与が定借の条件変更にとどまらず、買受にも及んでいた事実を示すものであり、安倍首相が繰り返し否定した、「私の妻が国有地の売却に関与した」証拠として重大な意味を持つ
とのことである。
当該記事においては回答FAX 3)の内容を以下のように
「3 土壌汚染や埋蔵物の撤去期間に関する賃料の扱い
・・・・土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される。」
一部「・・・・」で省略してしまっているが、省略されていない本文は以下の通りである。
3) 土壌汚染や埋設物の撤去期間に関する賃料の扱い
平成27年5月29日付 EW第38号「国有財産有償貸付合意書」第5条に基づき、土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される。
つまりこの「第6条」というのは「EW第38号『国有財産有償貸付合意書』」の中の条文であり、その合意書はもちろん森友学園も了解済みの既知の内容であるから、その内容に基づく事柄を知らせたところで何か特別な意味があるということはない。
ところで当該記事の書きぶりであると、安倍昭恵が定借に関与しただけでは「私の妻が国有地の売却に関与した」に当てはまらないかのようであるが、今回の国と森友学園との契約については、その成立過程等を考慮すれば、定借期間から売買に至るまでを一体のものとしてみなすのが適当であり、「定借には関与したが売却には関与していない」式の言い逃れは、そもそも通用しないと言うべきであろう。
ちなみに「撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される」の部分は、既に佐川理財局長により「誤りである」と指摘されている。
この「国有財産有償貸付合意書」が今の段階ではネット上ではおそらく参照できないので曖昧な部分を含むが、玉木雄一郎議員のツイートによると第6条とは以下のような内容であるという。
問題のFAXに関して、政府は有益費が28年度の予算で支払われたことは問題ないというが、27年5月の契約6条2項では土地の買受け時に撤去費用を支払う(売買代金から差引く)ことになっている。それなのに、わざわざ第3項の特例を使って買受け前に支払ったこと自体、特別の計らいではないのか。
— 玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro) 2017年3月26日
6条には複数の決め事があり、土壌汚染の処理費用については2項ではなく3項で処理するというのは国も森友学園も承知しているところである。それゆえにいつ返金するという議論になっている。
そんな中で、まるで処理費用が2項で処理されるかのような記述をされてしまうのは、森友学園側からしてみれば混乱するだけだったのではないか。