「なぜ大阪音大ではなかったのか?」は政府により説明されている

加計学園と森友学園を巡って、政府が答えるべきたった二つの質問 - 読む国会

では、政府が果たすべき説明責任とはなんなのだろうか?

森友学園の問題に対しては「なぜ大阪音大ではなかったのか?」

(略)

これに答えるだけでもいい。 

 

衆議院会議録情報 第193回国会 決算行政監視委員会 第1号

○石関委員 先ほどの御答弁で、森友学園以前に別の学校法人から買いたいという申し出があったために移管をしないでそのまま国が持っていたということだったと思いますが、これはどういう学校法人だったんですか。
○佐藤政府参考人 個別具体的な名称についてでございますけれども、大阪音大というところなんですけれども、大阪音大から平成二十二年の七月にまず一回目の買い受け要望書の提出がございまして、このときは、実は事業計画書の中身が不十分だったために受理には至らなかったということでございます。
 その後、平成二十三年七月に二回目の要望書の提出がございまして、このときもやはり事業計画書が不十分だったということで受理に至らず、さらに翌年の平成二十四年の一月に三回目の要望書の提出があって、このときは計画がしっかりしてございましたのでこれを受理し、平成二十四年の三月に、大阪航空局から近畿財務局に対しまして、この大阪音大への売り払いを内容とする処分の依頼を行ったということでございます。
○石関委員 では、結局、この音大が買えなくなってしまったということですね。その経緯を教えてもらえますか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども御答弁いたしましたけれども、大阪音大からは平成二十四年の一月に三回目の取得要望書の提出があって、三月に、私ども大阪航空局から近畿財務局に対し、売り払いを内容とする処分依頼をしてございます。
 その後、これは近畿財務局と大阪音大の方でやりとりがあったと思いますけれども、最終的には平成二十四年の七月に大阪音大が買い受け要望書の取り下げ書を提出してきたということでございます。
○石関委員 その取り下げた理由というのは承知されているんですか。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
 本件土地につきまして、先ほど国土交通省側から御説明がございましたとおり、平成二十四年三月に、大阪航空局から近畿財務局に対しましての、学校法人に対する時価売り払いを内容とする処分依頼を受理してございます。
 その後、七月までの間でございますけれども、国有財産は当然のことながら時価で売却する必要がございまして、当時はまだ、今問題となっております、昨年三月に発見されました新たな地下埋設物が出る前の段階でございます、当時の路線価あるいは公示地価等から見込まれる時価がございまして、一方で、大学のサイドからは、経営上の理由ということだったと承知しておりますけれども、七億円ぐらいしか出せない、そういうお話がございまして、時価でないと売れませんということで、学校法人の側から要望書を取り下げられたというふうな経緯でございます。
○石関委員 そうすると、その段階では土地に問題が見つかったとかそういうことではなかった、普通の土地だというふうにそれぞれ認識していたけれども、音大の方でお金が足りなくて買えないのでやはりやめます、こういうことだったということですか。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
 本件土地に関するいわゆる瑕疵と申しますものは、大きく二つございます。
 一つは、森友学園に貸し付けた後、森友学園がいわゆる有益費で除去いたしました一億三千万円相当分でございますけれども、これは実は国土交通省の方で既に平成二十二年当時の調査でわかっておった瑕疵でございます。これは、土壌汚染でございますとか浅い部分までのコンクリートがら等の埋設物でございます。
 この状況は、平成二十四年当時の大阪音大とのやりとりの中でもお互いわかっておった事実でございます。そこがわかった上で七億、その分を差っ引いても五億八千万程度ということでございまして、時価がそれより高いと想定されましたので、大阪音大の方で要望を取り下げられたという経緯でございます。
○石関委員 その一次的な瑕疵は承知の上で取引をしようと思ったけれども、結局、買いたいという方がお金が足りなくてやめますということで売却できなかったということですか。ただ、そういう交渉もしていたので、そこの部分は空港会社に移管をしないでそのまま国が保持することになった、こういうことですね。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 新関空会社の承継という観点からは、今御指摘のとおりでございます。

要するに、大阪音大が提示した額が想定時価に比べて安かったため、売却できなかったというだけのことである。この時の想定時価は上記答弁では明確にされていないが、約9億円超であったことが報道により明らかになっている。

国有地、大阪音大が7億円で購入意向…12年 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

大学側は12年1月に買い取りの意向を示し、最大7億円を出せると表明したという。しかし、国側は当時の時価9億円超での売却を希望。大学側は同年7月、購入を断念した。

毎日新聞の記事であるが、毎日新聞本体のサイトから記事が消えているので、琉球新報より孫引き)

大阪音大に7億円なり5億8千万円なりで売却すれば、国有地の時価売り払いの原則を外れるため、それは不当あるいは違法な取り引きとなる。不当・違法な取り引きを行わなかったことに何の問題があろうか。

 

一方、森友学園に対する売却は、更地価格約9億5千万円から地下埋設物撤去費用相当額の約8億2千万円を差し引いた約1億3千万円であり、まさに時価で売却しているので、これは原則に則った正当あるいは適法な取り引きである。

ただしその正当性・適法性には、地下埋設物撤去費用の見積が妥当なものであるという限りにおいて、という条件がつく。それゆえにこの取り引きの正当性・適法性を検証している者は皆、あれこれ知恵を絞ってその見積の妥当性を問うているのである。

「なぜ大阪音大ではなかったのか?」を政府が答えたからといって、見積りの妥当性の問題がどこかへ消えていってしまい、森友学園との契約の正当性が示されるということには決してならない。

 

大阪音大に売らなかった理由を答えればそれで説明責任は果たされるなどというのは、全く成り立たない議論であるばかりか、見積りの妥当性の検証に精を出している者たち(野党議員を含む)を愚弄する暴論である。