森友学園問題:大阪音大交渉時の産廃処分費用見積の異様な安さについて

個人的に森友学園問題は一服感があった昨年末、特別国会も閉会間近というところで、森ゆうこ議員が興味深い資料を発掘してくれた。

(元記事が消えているため、はてブのリンクを貼った)

b.hatena.ne.jp

資料自体を森議員の公式サイトからダウンロードすることもできる。

http://www.mori-yuko.com/activity/files/haifu.pdf

 

一見して興味深い内容を含んでいたが、その後特に注目されることもなかったため、記事にすることもしなかった。

しかし最近になって森議員が

と、再度この件を取り上げたので、おそらくこれまで誰も書いていない内容であろうことや、当ブログへのアクセスとして多いのが大阪音大との交渉経緯を紹介した記事であることを踏まえ、記事に残すこととした。

 

さて、見ていただきたいのは上掲pdfの1~4頁である。

この資料がどういう性質のものであるかは、森議員自身の国会での発言を引用することで説明と代えたい。

参議院会議録情報 第195回国会 文教科学委員会、内閣委員会連合審査会 第1号

森ゆうこ (略)
この森友学園が買う以前に別の学校法人が買受けを要望していて、実は七億で買いたいと言っていた、しかし予定価格に合わなかったので買受けを断念したと。そのときにはきちんと鑑定評価に基づいて評価調書を作っていたという報告がございます。
 これを根拠に、廃棄したとはもう言えないでしょうということで、十日掛かりましたが、やっと出てまいりました、評価調書。この森友学園の前の、取得を断念した他の学校法人のときに作った評価調書では、この森友学園にただ同然で売り払った土地の価格は一体幾らというふうに評価されておりますか。
○政府参考人(富山一成君) 先生御指摘の森友学園の前の事案につきましては、九億三百万円でございます。
森ゆうこ これに関しては、地下埋設物、つまりごみの撤去費用は算定して、それは引かれての評価額だということでよろしいですね。そして、その額も教えてください。
○政府参考人(富山一成君) 今先生おっしゃいましたように、撤去費用を差し引いたものがこの評価調書に載っております。その金額につきましては、八千四百三十七万二千六百四十三円でございます。

大阪音大との売却交渉においては、従前に行われていた地下構造物調査で判明していた地下埋設物を実際に撤去するとなればいくらになるのかという撤去費用の見積もりを、なかなか大規模な調査により実施していた。

調査方法は、

  • 敷地全体で68箇所を試掘し、およそ1000m3の掘削土をサンプルとして得る
  • 試掘面積は343m2で、深さは約3m
  • サンプルから、処分費が必要な地下埋設物の量を測定する
  • 得られた埋設物の量に、別途計算した係数を掛け合わせ(約16倍)、敷地全体の地下埋設物の量を推定する
  • 処分費用を含まない純粋な工事費についても、同様に試掘の実績値を約16倍して算出する

というものである。

そうして得られた撤去費用見積が、8437万2643円である。この金額に除染費用の4390万円を加えた約1億3000万円というのが、大阪音大との交渉時に国が示した値引き額であったという。

先の特別国会から見えてきた森友問題の新たな実態 | ビジネスジャーナル

確かに撤去費用について森友学園の約8億円と比べると10分の1となるが、内訳を詳しく見ていくと、そう単純な話ではない。

撤去費用 = 純工事費 + 産廃処分費 であるところ、純工事費については大阪音大森友学園で大差はない。一方で産廃処分費については、大阪音大が約280万円に対し森友学園が約4億4000万円と、157倍(!)もの差があるのである。

 

下記画像は資料の評価調書から引用した、撤去費用の内訳部分である。(赤線引用者)

(森友の金額については冗長になるのでここで詳しくは述べない。会計検査院の資料を参照)

f:id:barelo:20180319010751p:plain

体積の比率からして費用の大部分を占める廃材・ゴミ処分費の単価が、「400円/m3」とされている。

いったいこの400円/m3というのは、どこからきた数字なのだろうか。「処分費(豊中市)」というのもよくわからない記述である。豊中市の指定ごみ袋の値段を調べてみたら、おおよそこれくらいの値段になるのだが、まさかそのような数字を単価として使うはずもあるまい。

豊中市 指定ごみ袋 - Google 検索

m3⇔ t(トン) の変換を考慮に入れても、その後実際に有益費で処理された地下埋設物除去工事での実績値と比べて、あまりに安いように思われる。

 

近畿財務局・大阪航空局としては、この時の見積が念頭にあり、敷地全体の埋設物を撤去してもこの程度の金額で済むという認識だったのだろう。

しかし実際に工事をしてみたら、「北東部分だけの産廃だけで約4000万円」「すべて撤去となると膨大な金額」「地価を上回る瑕疵」という事態になってしまったのは、当ブログで文字起こしした「業者側の記録」に記されているとおりである。

barelo.hatenablog.com

仮にこれが何らかの見積もりミスであったとしたら、現在の政治状況を鑑みるに、なんとも罪作りなミスである。

森議員には、このあたりを含んださらなる追求を期待したい。