森友学園問題:方便としての「新たなゴミ」

いわゆる「新たなゴミ」が実際にあったのか、というのは、森友学園問題における大きな論点である。

私はこれまでは、どちらかと言えば新たなゴミは「あった」 と考えていた。

ただし、大阪航空局が算定に利用した、敷地全体で3.8m、杭打ち部分9.9mという深度は、瑕疵担保責任の免除という重大な(国側の)利益との引き換えとするための名分の意味合いが強いとは思ってはいた。その上で、それなりの量の新たなゴミが発見されてはいたのだろうと思っていた。

その判断の理由は、仮に新たなゴミが存在しなかったとした場合、それをあったことにする理由が見当たらないからである。私は、いわゆる「既知のゴミ」だけでも、全て処理すれば「地価を上回る」撤去費用になるおそれがある(と国側は考えていた)という認識なので、何も捏造だの何だのという危ない橋をわたる必要はなく、既知のゴミの撤去費用として値引けばそれで良いはず、という理屈である。

 それが今現在は、新たなゴミは「なかった」論に傾きつつある。その理由はもちろん、「新たなごみがあったことにする理由」が見つかったためである。

 

文書改ざん問題が発覚して以降忘れ去られてしまった感があるが、近畿財務局と本省との間で交わされた法律相談の内容が、今年に入って資料として公開された。

財務省が公表した森友学園側との交渉内容が含まれる文書:朝日新聞デジタル

「新たなゴミ」に関連するのは、ファイル

廃棄物混在土壌の残存について

である。

この法律相談は3月24日に照会、3月31日に回答が出ているものである。すなわち、森友学園代理人たる酒井弁護士から、ゴミの処理費用を評価額に反映した上での土地の買い受けで事態の収集を図りたいとの提案を受けてのものである。

その中には例えば「一旦、学校法人に撤去させて改めて有益費で支払う処理方法を含めて検討している状況」といった記述もあり、この時点で近畿財務局・大阪航空局の考えは「値引きありき」ではなく「処理ありき」の段階にとどまっていることが伺い知れる。

更にその後の3月30日と見られる音声データにおいても、

東京新聞:「森友」協議 音声データ詳報:社会(TOKYO Web)

 弁護士 「先ほど言ったように、土地の価格から処分費用を引いてもらえる話として、土地の評価ができるんだったら。そしたら、その時点で売買代金を処理するし、引けないと言うなら後で請求するしかない」

 国側の職員 「金額をまず提示して、それでどうかというところになる。それで合意に至らなければ当然、国が請求を受けるという話になると思う」

(中略)

 弁護士 「そういう値段と、そこから処理費用を引けるような形で話をもっていってもらうように。仮に引けなかったとしても、後で請求できるような形にしてもらいたいし、土地の値段もできるだけ低くということでお願いする」

というやり取りがあり、値引きで対応することが確定していない事がわかる。

8億円の値引きが、総理/官邸の指示により端から決まっていたかのような言説が散見されるが、そのような言説とは符合しない事実である。

 

さて、同法律相談文書の中でひときわ重要なのが、以下に画像で引用したフローチャート図であると思われる。

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 ※契約書5条、6条の内容は記事末尾に別途引用

これは近畿財務局からの

(問1)国は本地を小学校敷地として学校法人に貸付けており、貸主として小学校が建築できる敷地を提供しなければならないため、校舎建築予定箇所に存在する廃棄物混在土壌を撤去する必要があると考えるが、その考え方で良いか。法的にどういう責任を負担することになるのか。

という質問に対して示されたものである。

この流れに従うと、「廃棄物混合土壌が本件報告書(契約書5条)記載の地下埋設物等と同一視できる場合」「契約書6条の処理に従う」ということで終わってしまう。契約書6条の処理というのは、すなわち有益費で処理するということである。

そうなってしまうと、基本的にはかかった費用の事後的な実費精算となるから、国としては地下埋設物の撤去費用をコントロールできなくなってしまう。従って、撤去費用が地価を上回る想定を排除できないことになる。

国側が、撤去費用が地価を上回る可能性を実際に心配していた証左は、同法律相談の中にも見て取れる。

(問3)地下埋設物撤去に必要な費用が、土地の時価額を上回るような場合にまで貸主が費用負担を行って撤去工事を行う必要があるか。費用が土地の時価額を上回る水準に至れば貸主の義務は緩和されるか。

 

【回答】

(略)

 そもそも土地売買に関する瑕疵担保による損害賠償額の算定の際には、信頼利益の限度で賠償責任を負い、その賠償額は目的物の時価額に限定されるとの議論はある。

 しかし本件においては、地下埋設物の存在によって本件報告書等記載の使用目的を達成できない重要な瑕疵について、契約解除、損害賠償責任を免れるために自ら除去工事を行う場合には、契約の使用目的を達成でき、国が算定した貸付額に見合う品質の土地に達する程度の除去工事を行わない場合には、瑕疵担保責任による契約解除、損害賠償責任を免れないという問題であり、上記損害賠償責任の問題とは一線を画し、必ずしも工事額と目的物の時価額の大小を対比するものではない。

 

法律相談の結果がこういうものだったことから、近畿財務局が

・有益費で処理しなくても良い=値引きで対応できる

・撤去費用が地価を上回らないことを保証できる

という条件を満たすためにたどり着いた結論が「新たなゴミ」スキームだったのではないか。

すなわち、

・「撤去が必要なのは専ら事前に知りえない地下埋設物=新たなゴミである」ということにする

・その撤去費用を大阪航空局に算定させ、森友学園と合意可能かつ総合的な国の収支がマイナスにならない売却額を導き出す

というものである。

 

 

参考資料

(土壌汚染及び地下埋設物)

第5条 乙は、平成26年11月7日及び平成26年12月17日に甲が引き渡した「大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)土地履歴等調査報告書 平成21年8月」、「平成21年度大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務報告書(OA301)平成21年1月」、「大阪国際空港場外用地(OA301)土壌汚染概況調査業務報告書 平成23年11月」、「平成23年大阪国際空港場外用地(OA301)土壌汚染深度方向調査業務報告書 平成24年2月」(以下「本件報告書等」という。)に記載の地下埋設物の存在及び土壌汚染の存在等を了承するものとする。

2 乙は、前項の内容に加えて、貸付財産のうち一部471.875m2が、豊中市より土壌汚染対策法第11条第1項で定める形質変更時要届出区域に指定されていることを了承するものとする。

3 乙は、前2甲を了承した上で本契約を締結するものとし、本件報告書等に記載のある汚染物質、地下埋設物等の存在及び形質変更時要届出区域の指定を理由として、瑕疵担保責任に基づく本契約解除及び損賠賠償請求並びに貸付料の減免請求等を行わないことを、甲に対して約する。

(土壌汚染除去等費用)

第6条 乙が、前条第1項記載の土壌汚染、地下埋設物の除去を行い、それによって貸付財産の価値が増大した場合の除去費用は有益費とする。

2 前項の有益費は、本契約終了の時に、貸付財産価格の増加が現存する場合に限り、乙が支出した費用のうち甲の基準による検証を踏まえて乙と合意した額又は貸付財産価格の増加額のいずれかを甲が選択の上うえ、乙に対して返還する。

3 甲は、前項の規定にかかわらず、甲が返還すべき有益費の金額査定につき、本契約終了前においても、貸付財産価格増加の現存額算定の基準時期を指定したうえで、前項と同様の方法により甲が乙に返還すべき有益費の額を定めることができる。但し、同金員の返還時期及び返還方法は、甲が指定し、同金員に対しては、返還時期までの利息及び遅延損害金は付さないこととする。

4 前2項における貸付財産価格の増加時は、甲の基準による鑑定評価方法によって定めることの甲は同意する。

5 第2項の返還時期につき、相当の期限を付する必要が生じた場合には、甲及び乙が協議した上で、相当な期限を付した返還時期を定めることができる。

6 第1項の有益費に関して、甲は、乙に対し、乙が、現に行い又は行おうとする土壌汚染又は地下埋設物除去工事に関する一切の資料の提出を求め、その他必要な調査を行うことができる。

森友学園問題小ネタ:平成25年は2015年だと主張する川合孝典議員

このところ再び国会での森友議論をチェックしているのだが、なんと件の土地の登記の錯誤抹消にかかる議論が蒸し返されているのには驚かされた。疑ってかかれば何事も怪しく見える(あるいは因縁をつけられる)のだなあと感慨深い。

本日(4月5日)の参議院財政金融委員会においても、民進党・川合孝典議員がこの点を質問していた。そのなかで、さすがに「これはひどい」と思わざるを得ない点があり、twitterを見てみても誰も指摘していないようなので、小ネタとして拾っておく。

 

参議院インターネット審議中継

43分30秒あたり(文字起こしはケバ取りしたもの)

登記の、森友学園の土地の全部事項証明書というのをコピーをさせていただいております。4番の資料をご覧いただきますと、上から4段目のところに、錯誤による所有権抹消という手続きが取られている...平成25年1月10日ということでございますが...

54分10秒あたり

ちなみに、私、この事に気がついた理由は、1月の10日にこれ錯誤抹消の手続き…2015年1月10日に錯誤抹消されていますが、この直前に何があったのかというと、2015年1月8日の日に、産経のインターネット記事に、安倍昭恵夫人が学園を訪れて教育方針に涙をされたという…昭恵さんがされて、さらにはその次の日ですね、手続きをちょうどはじめた日、財務局が学園を訪問し、土地の貸付料の概算を伝えた日なんです。だからこのことを指摘してるんです。

登記手続きがあったのが、最初は平成25年だと言い、後に2015年だと言っている。正しいのは平成25年である。登記内容は

「錯誤」登記の補足と、安倍首相の「森友学園切り捨て答弁」 - ゴー宣ネット道場

こちらから画像をお借りして貼り付けておく。

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そしてもちろん、平成25年は2013年である。安倍昭恵や近畿財務局が学園を訪問した2015年1月はその2年後である。従って理由がなくなったので、川合議員はこのことを指摘するのをやめるべきだろう。

 

だいたい、錯誤抹消の直後に近財が学園に訪問など、少しでもまじめに森友学園問題について調べたのならば、そのような時系列になるはずがないことは直感でわかるものだ。

まじめにやれ、の一語に尽きる。

 

森友学園問題:迫田氏を証人喚問して何を聞くのか

佐川宣寿国税庁長官に対する証人喚問が、これといった成果なく終わったことから、さらなる証人喚問を要求する声が高まっている。

特に迫田英典元理財局長に関しては、佐川氏が、自身が理財局長に就任するにあたり、森友学園に関して迫田氏からの引き継ぎは無かったと証言したことから、その注目度が高まったように思える。

しかし私は、迫田氏を喚問しても今回同様の無益な喚問にしかならないと(現状では)思うので、この記事ではそのことについて記す。

 

森友学園問題に関して迫田氏が疑惑の目を向けられる理由は、大きく分けて2つある。一点目は迫田氏が、森友学園に対し国有地の売却がなされた時点での、財務省理財局長であったということである。理財局長は国有地の売却を所管する部局の長であるから、その立場を利用して、例えば値引きをするように指示をしたのではないか、といったようなことが言われている。

あまり顧みられることがないが、迫田氏はちょうど約1年前の2017年3月24日に参議院予算委員会参考人として承知され、己と森友学園の案件との関わりについて「丁寧な説明」を行っている。

参議院会議録情報 第193回国会 予算委員会 第16号

西田昌司 (略) あの土地の売却について特段政治的な配慮も、皆さん方がいわゆるそんたくをしたということもなかったと思いますが、その辺の事実関係についてお一人ずつお答えください。
参考人(迫田英典君) お答えを申し上げます。
 この事案につきまして私が政治的な配慮をしたのかというふうな御質問と受け止めまして、申し上げたいと思いますけれども、まず、理財局長当時、私は本件について報告等を受けたことはございません。少しここは丁寧に御説明をさせていただきたいと思います。
 個別の普通財産の管理処分、これにつきましては、国有財産法並びに普通財産取扱規則に基づきまして財務局長に分掌をされております、事務が分担をされているということでございます。
 一方で、一般的にこうした個別財産の処分に関する法令解釈、こういったものにつきましては、各財務局から本省の理財局の担当課室に報告なり相談がなされるということでございまして、本件につきましても、法令等に反しないかといったような観点から本省理財局は相談を受けていたというふうに承知をいたしております。
 全国の財務局で売払い等の処分がなされる国有地でございますけれども、これは年間四千件を超えているわけでございまして、全ての事案が本省理財局に報告、相談されるわけではございません。
 また、本省理財局に上がってくる案件のうちでいわゆる理財局長まで報告、相談がなされる案件は、私の一年間を振り返っても極めて限定的でございます。それは、私どもに、私のところに上がってこない案件につきましては、それぞれの担当部署が責任を持って対応するということになるわけでございまして、要するに、御質問に戻りまして、本件について私が政治的な配慮をしたのかということに戻りますと、今言ったような事情でございますので、政治的な配慮をするべくもなかったということでございます。
 あわせまして、本件に関しまして、私に対して国会議員の方を始めとした政治家の方あるいはその秘書の方等からの問合せ等は一切ございません。
 以上でございます。 

私はこの説明は、国有地の処分の事務の分担の一般論としては完璧だと思うし、その一般論を打破することのできる、個別的ななにがしかの証拠・事実に類するものは一切出てきていないと思う。

先日太田理財局長が、一連の決裁文書の最終的な決裁権者が誰だったのかを問われて、それは近畿財務局の管財部次長であると答えたとおり、国有地の貸付から売却に至るまで、事務的には近畿財務局の中で完結しているのである。

唯一、土地の貸し付けに関する特例承認を財務本省に求めた件だけが、財務省理財局が決裁に関与した件であるが、その時点(2015年4月30日)では迫田氏はまだ理財局長に就任していない。迫田氏の理財局長就任は2015年7月になってからである。しかも同決裁は理財局次長が最終決裁権者となっており、理財局長まで決裁があがっていくような案件ではない。

 

迫田氏のこの説明を完璧だと思ったのは私のみならず、野党議員の面々も同様だったはずだ。というのも、前掲の迫田氏の答弁は、会議の冒頭で自民党西田昌司議員から発せられた質問に対するものであったが、野党議員はこの説明を聞かされて以後、迫田氏に対してぐうの音も出なかったからである。

この会議中、野党議員から迫田氏に対する質問は、わずかに大塚耕平議員が

大塚耕平 (略)
 今日は国税庁長官と国際局長においでいただいています。まず、国税庁長官にお伺いいたしますが、このお手元の経緯表にもありますように、総理の御夫人が森友学園で講演をされた平成二十七年の九月五日の直前に、理財局長、当時の理財局長として迫田さんは総理と面会をしておられますが、報道によっては三日と書いてあったり、一部の報道では四日と書いてあったり、三日と四日両方というのもあって我々もよく分からないんですが、事実関係を、これ通告してありますので御確認いただいたと思いますので、正確に、その直前の九月の三日又は四日、あるいはその両日、総理とどういう御用件でお会いになったのかという事実関係をお答えください。
参考人(迫田英典君) お答えをいたします。
 一昨年の九月に私は総理のところに御報告に参っております。日付は九月の三日であります。その理由は後ほど申し上げます。案件は、日本郵政グループ三社の株式の上場でございます。
 一昨年の秋、この日本郵政グループ三社の株式の上場というのは理財局の大変大きなイシューでございました。したがいまして、それ以前にも総理のところには御報告に行っていたと思いますけれども、このタイミングで改めまして検討状況の御説明、それから足下の株式市場あるいは経済情勢等の状況というものを踏まえまして、九月の十日に売却手続の開始、委員よく御案内のとおり、ローンチと申しますけれども、これをするというふうなことを口頭で御説明をしたわけであります。
 九月の三日という意味合いは、当初、私の記憶、やや曖昧なところありましたけれども、今申し上げたように、ローンチ日が九月の十日でございまして、その一週間前ということでございました。
 それで、九月の上旬というのは、これも委員も御記憶のとおりと思いますけれども、あの年、八月のお盆前までは株式市場は比較的堅調でございました。お盆明けになりまして、マーケットではチャイナ・ショックというような言い方をしておりましたけれども、非常に値崩れをしたわけでございますから、それ以前にも御説明をしておりましたけれども、ローンチの一週間前というタイミングで改めてやらせていただきたいということを御報告に上がったということでございます。

と、迫田氏に疑惑の目が向けられるもう一つの理由である「疑惑の3日間」と呼ばれる期間の、安倍総理と迫田氏の面会内容を問い、きっぱり説明されてしまったのと、

大塚耕平 その直前、九月三日の直前の八月二十六日に森友小学校の建設予定地で埋蔵物が発見されて、二十七日に近畿財務局と大阪航空局で現地調査をしているわけですが、この事実関係は、当時の理財局長ないしは当時の近畿財務局長として間違いないですか。
参考人(迫田英典君) お答えをいたします。
 今日の午前の西田委員の御質問に対してお答えをいたしましたけれども、私は、理財局長に在任時代、その森友学園の件については報告等を受けておりませんので、その間の事情については承知をしておりません。

大塚耕平 (略)当時の理財局長、まあ全部の案件を知っている必要はないかもしれませんが、何か自分の管理に落ち度なり瑕疵があったとは思われませんか。
参考人(迫田英典君) お答えをいたします。
 こうした個別の普通財産の管理処分は、先ほど申し上げたような法律、規則等で適切に分掌されておりまして、その範囲において権限者が適切に対応したものと思っております。

と、2件質問するも、軽くいなされたのみであった。あれだけ野党揃って呼べ呼べと言っておいて、これだけ、たったこれだけなのである。

 

特筆すべきは森友問題の追求で名を上げた感のある、共産党の辰巳孝太郎議員である。辰巳議員はそれまでの国会で

平成29年03月06日 参議院会議録情報 第193回国会 予算委員会 第7号

○辰巳孝太郎君 (略)
 真相解明のためには、籠池氏本人や当時の責任者の迫田理財局長、これの国会招致を強く求めたいと思います。

平成29年03月10日 参議院会議録情報 第193回国会 予算委員会 第10号

○辰巳孝太郎君 偽証罪にも問われる、籠池氏、迫田氏の証人喚問を強く求めて、私の質問を終わります。

平成29年03月21日 参議院会議録情報 第193回国会 財政金融委員会 第4号

○辰巳孝太郎君 (略)真相究明のためには、当時の財務局、理財局、責任者である迫田前理財局の局長を参考人としてこの委員会でも招致願いたいと思います。委員長、お計らいください。

と繰り返し迫田氏の招致を要求しており、実際に参考人招致があった当日の質問でも

○辰巳孝太郎君 (略)
 さて、今日は、迫田前理財局長、武内前近畿財務局長、よくぞお越しいただきました。できればですね、できれば証人喚問でお越しいただきたかったというふうに思いますが、(略)

と先制ジャブを繰り出した。

当時ネットで中継を見ていた私は、これは何か面白いやり取りが見れるかと期待したものだった。しかし辰巳議員は結局、迫田氏に対しては何一つ質問しなかったのである。

 

そもそも事務の分担の話などは、ちょっと事前調査をすれば分かる話なのではないか。そのような事情を踏まえてなお疑うべきところや直接確認したいことがあるから、国会招致を求めたのではなかったのか。

国会に呼べ呼べと言っておいて実際に呼んだらろくに質問もせず、1年経ってまた呼べという。迫田氏が潔白だったとしたら、これはどれだけ無礼なことだろうか。

野党が迫田氏の証人喚問を求めるのであれば、少なくとも迫田氏の「丁寧な説明」に対するまともな反論を示し、証人喚問の必要性を説明するのが筋というものである。

それができていない状態では、仮に証人喚問が実施されたとしても、昨年の参考人招致時と全く同じ展開になることを予想せざるを得ない。

 

森友学園問題:大阪音大交渉時の産廃処分費用見積の異様な安さについて

個人的に森友学園問題は一服感があった昨年末、特別国会も閉会間近というところで、森ゆうこ議員が興味深い資料を発掘してくれた。

(元記事が消えているため、はてブのリンクを貼った)

b.hatena.ne.jp

資料自体を森議員の公式サイトからダウンロードすることもできる。

http://www.mori-yuko.com/activity/files/haifu.pdf

 

一見して興味深い内容を含んでいたが、その後特に注目されることもなかったため、記事にすることもしなかった。

しかし最近になって森議員が

と、再度この件を取り上げたので、おそらくこれまで誰も書いていない内容であろうことや、当ブログへのアクセスとして多いのが大阪音大との交渉経緯を紹介した記事であることを踏まえ、記事に残すこととした。

 

さて、見ていただきたいのは上掲pdfの1~4頁である。

この資料がどういう性質のものであるかは、森議員自身の国会での発言を引用することで説明と代えたい。

参議院会議録情報 第195回国会 文教科学委員会、内閣委員会連合審査会 第1号

森ゆうこ (略)
この森友学園が買う以前に別の学校法人が買受けを要望していて、実は七億で買いたいと言っていた、しかし予定価格に合わなかったので買受けを断念したと。そのときにはきちんと鑑定評価に基づいて評価調書を作っていたという報告がございます。
 これを根拠に、廃棄したとはもう言えないでしょうということで、十日掛かりましたが、やっと出てまいりました、評価調書。この森友学園の前の、取得を断念した他の学校法人のときに作った評価調書では、この森友学園にただ同然で売り払った土地の価格は一体幾らというふうに評価されておりますか。
○政府参考人(富山一成君) 先生御指摘の森友学園の前の事案につきましては、九億三百万円でございます。
森ゆうこ これに関しては、地下埋設物、つまりごみの撤去費用は算定して、それは引かれての評価額だということでよろしいですね。そして、その額も教えてください。
○政府参考人(富山一成君) 今先生おっしゃいましたように、撤去費用を差し引いたものがこの評価調書に載っております。その金額につきましては、八千四百三十七万二千六百四十三円でございます。

大阪音大との売却交渉においては、従前に行われていた地下構造物調査で判明していた地下埋設物を実際に撤去するとなればいくらになるのかという撤去費用の見積もりを、なかなか大規模な調査により実施していた。

調査方法は、

  • 敷地全体で68箇所を試掘し、およそ1000m3の掘削土をサンプルとして得る
  • 試掘面積は343m2で、深さは約3m
  • サンプルから、処分費が必要な地下埋設物の量を測定する
  • 得られた埋設物の量に、別途計算した係数を掛け合わせ(約16倍)、敷地全体の地下埋設物の量を推定する
  • 処分費用を含まない純粋な工事費についても、同様に試掘の実績値を約16倍して算出する

というものである。

そうして得られた撤去費用見積が、8437万2643円である。この金額に除染費用の4390万円を加えた約1億3000万円というのが、大阪音大との交渉時に国が示した値引き額であったという。

先の特別国会から見えてきた森友問題の新たな実態 | ビジネスジャーナル

確かに撤去費用について森友学園の約8億円と比べると10分の1となるが、内訳を詳しく見ていくと、そう単純な話ではない。

撤去費用 = 純工事費 + 産廃処分費 であるところ、純工事費については大阪音大森友学園で大差はない。一方で産廃処分費については、大阪音大が約280万円に対し森友学園が約4億4000万円と、157倍(!)もの差があるのである。

 

下記画像は資料の評価調書から引用した、撤去費用の内訳部分である。(赤線引用者)

(森友の金額については冗長になるのでここで詳しくは述べない。会計検査院の資料を参照)

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体積の比率からして費用の大部分を占める廃材・ゴミ処分費の単価が、「400円/m3」とされている。

いったいこの400円/m3というのは、どこからきた数字なのだろうか。「処分費(豊中市)」というのもよくわからない記述である。豊中市の指定ごみ袋の値段を調べてみたら、おおよそこれくらいの値段になるのだが、まさかそのような数字を単価として使うはずもあるまい。

豊中市 指定ごみ袋 - Google 検索

m3⇔ t(トン) の変換を考慮に入れても、その後実際に有益費で処理された地下埋設物除去工事での実績値と比べて、あまりに安いように思われる。

 

近畿財務局・大阪航空局としては、この時の見積が念頭にあり、敷地全体の埋設物を撤去してもこの程度の金額で済むという認識だったのだろう。

しかし実際に工事をしてみたら、「北東部分だけの産廃だけで約4000万円」「すべて撤去となると膨大な金額」「地価を上回る瑕疵」という事態になってしまったのは、当ブログで文字起こしした「業者側の記録」に記されているとおりである。

barelo.hatenablog.com

仮にこれが何らかの見積もりミスであったとしたら、現在の政治状況を鑑みるに、なんとも罪作りなミスである。

森議員には、このあたりを含んださらなる追求を期待したい。

 

森友学園問題:私のやらかしについて

前記事の判断の背景についてくだくだ書こうかどうか迷ったけれども、有限なリソースを国有地処分問題の分析に振り向けるべきだと考え、朝日新聞社及び記者の方々に対し詫びることのみに留めておくこととした。

こんな泡沫ブログの影響力などありはしませんが、大変失礼いたしました。

 

森友学園問題:朝日のやらかし疑惑について(追記あり)

[追記]

3/9の朝日朝刊によると、契約当時の文書には

1.事案の概要

学園から早期に本件土地を買受けたいとの要請を受けて、価格等について協議した結果、学園が買受けることで合意

との記述があるそうである。

となればこれは予定価格の決定の決裁文書ではありえないし、和田議員が示した「予定価格の決定」決裁文書の1.事案の概要にも当然ながら該当する部分が存在しないため、この2枚の決裁文書の取り違え説は成立しないと見て良いだろう。

下記は記事を書いた段階で得られる情報の中で書いたものなので、そのまま残しておく。

 

こちら

https://mainichi.jp/articles/20180308/k00/00e/040/287000c

とこちら

朝日新聞さん、まさか文書を取り違えてはないとは思いますが。。。|参議院議員 和田政宗オフィシャルブログ Powered by Ameba

に関連して、私は本件は今のところ朝日新聞がやらかした説を有力視しているので、それについて記す。

番号が一致しているという論点について

朝日が取り違えていないだろうという根拠の中で有力と思われるのが、朝日は番号を確認しているという点である。

森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える:朝日新聞デジタル

内容が変わっているのは、2015~16年に学園と土地取引した際、同省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書。1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯や取引の内容などが記されている。

 朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。

決裁文書の実際の構成は、以下から参照できる。こちらは既報により、「国会議員らに開示した文書」と同一のものである。

https://www.minshin.or.jp/download/37616.pdf

確かに1枚目に決裁の完了日(H28年6月14日)・決裁印・起案日(平成28年6月13日)・番号(ES第28号)が記されている。

一部では「決裁番号」という書かれ方がされているが、朝日の記事にも決裁文書にもそのような名目の番号は書かれていないので、起案番号である「ES第28号」が、朝日が文書の同一性を判断した基準と見て良いだろう。(ただしこのあたり、私は役所の実務については全く無知なので、トンチンカンな事を言っている可能性あり)

そして2枚目以降を見ると、「調書」が数ページに渡って続く。この調書の内容が書き換えられた疑いがあるというのが、本疑惑の焦点である。

ここで問題となるのが、調書の部分については、それが「ES第28号」と紐づくものであるという情報が欠けているところである。

上記資料をもう少し先に読み進んでいくと、調書以外の書類には右肩に「ES第28号」との記述があり、1枚目との紐づけができるのであるが、肝心の調書に関してはそのような記述がない。決裁完了日・決裁印その他の情報もない。

従って、1枚目の番号等々で同一性を確認したところで、2枚目以降の調書もやはり当該決裁のものであるということを確認することは不可能である。

何らかの理由で調書の部分が入れ替わった決裁文書を読んだ場合、誤認してしまうことはあり得ることである。

 

時系列のおかしさについて

書き換えられた箇所(の中の1点)について朝日はこう書いている。

売却契約の際の決裁文書では、契約当時の調書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」という文言があったが、開示された文書ではなくなっていた。

しかし上記資料の調書を読むと、pdf3頁 5.価格決定及び契約方法についての(4)はこうなっている。

(4) 未利用地を公共団体等に随意契約を行う場合、近畿財務局は相手方と見積り合わせを行って売却価格を決定しているが、本地については、学園において地下埋設物の撤去費用を積算することが困難であると考えられたことから、平成28年6月1日に学園に価格提示を行った結果、学園から買受ける意思表示がなされた。

まず、開示済みの文書においても「学園に価格提示を行った」という、そのものズバリの文言は存在しており、なぜこの文書がこれまで大きく取り上げられなかったのかが不思議である。

そして私が決定的におかしいと思ったのが、朝日が確認した「価格提示を行う」という表現だと、価格提示が今後行われるかのような意味合いになるからである。

毎日新聞の記事と決裁文書に記載された日付を総合すると、このあたりの時系列は以下のようになる。

2016/5/xx 予定価格決定。価格を森友学園へ通知することに関して決裁がなされる。

2016/6/01 森友学園に価格提示。学園と売買の合意を得る。

2016/6/13 売却決議を起案。

2016/6/14 売却決議が決裁される。

再び上記資料の1枚目に立ち返っていただきたい。特記事項には

決裁後は、別案1により相手方に契約通知を行った上、別案2により契約締結してよろしいか。

また、別案3~7により大阪航空局宛て通知してよろしいか。

とある。これが決裁されたらもう契約しますよ、という段階での起案なのである。これから価格提示を行い、学園との合意があったらという段階の話ではない。

「価格提示を行う」という文言は、「予定価格の決定の決裁文書」にはふさわしいが、「売買契約の決裁文書」にはふさわしくない。

売買契約の決裁文書であれば、「価格提示を行った」と、まさに開示済み文書のとおりに過去形で書かれるべき事項なのである。

 

産廃の処分費用はいったいいくらなのか

「国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」という会が、民間業者に依頼して埋設物撤去費用の独自試算(以下平野試算)を出している。

国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会 » 仮に国の地中埋設物の量があったとしても地中埋設物の撤去費用は3億7080万7728円で、4億4893万4219円が水増し

 

平野試算の資料を見てみると、差額の大部分は産業廃棄物の処分費用単価の差と、間接工事費の設定割合の差からくるものであることが分かる。

産廃処分費用単価について、国は22050円とし、平野試算では13932円としている。

間接工事費については、共通仮設費について国が6.99%、平野試算が2.92%、現場管理費について国が24.74%、平野試算が6.13%となっている。

本記事ではまず産業廃棄物の処分費用単価について考察していく。

 

国の価格の根拠は「複数事業者の価格を比較」ということである。

これではどの事業者を参考にしたのかが不明である。本当に参考にしたのか、参考にした対象は適切であるかなどの評価ができない。「鉛筆なめなめ」してでっち上げた価格である可能性を、現状では否定できない。

国側はこれまで地下埋設物撤去費用について、「公的な積算基準に基づくもの」という説明を繰り返してきた。しかしその大部分(直接工事費約5億円のうち約4億円)を占める産廃処分費用については、積算基準とは無縁の根拠によって見積もられていると言って良いだろう。

ただしこれが実際より割高であるとは限らない。工事費が一定額を越えてしまうことは、国にとっても不利益をもたらすからである。(前記事参照)

 

平野試算の根拠は「建設物価」記載の「大阪湾広域臨海環境整備センター」の「廃プラスチック」の受入価格である。

ここで疑問を感じるのが、件の土地から排出される産業廃棄物を「廃プラスチック」と区分して良いのか、という点である。

廃棄物の受入基準 - 大阪湾広域臨海環境整備センター

によると、廃プラスチックの受け入れ基準は

  • 最大径がおおむね15cm以下に破砕されたもの。ただし、中空のもの、有害な物質が付着し又は含有するものを除く。
  • 焼却施設により熱しゃく減量10%以下に焼却されたものであって、判定基準を満足するもの。
  • ばいじんにあっては、⑥ばいじんの受入基準を満足するもの。

となっており、安定型の、中間処理を経た産廃を想定しているように読める。

しかし地中に埋まっていたのは「廃材、プラスチック、生活ゴミ等」のごた混ぜである。平野試算でも中間処理の費用は計上していないから、そのままの状態で処分する前提での見積りのはずだ。

そのような状態の産廃は「管理型産業廃棄物」であり、安定型の産廃に比べると高額な処分費用がかかるのが一般的とされている。

同センターでも管理型産業廃棄物を「その他の産業廃棄物」として扱い、その受け入れ単価は処分料金表によると18468円となっている。少なくともそちらの価格を採用すべきではないだろうか。

こちら

国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会 » 「空港土木請負工事積算基準」での積算についてのコメント(9/14)

の補充鑑定意見書でも13932円を「市場価格」として維持しているが、そのように主張するのであれば、補足説明が必要に思われる。

 

ちなみに上掲受入基準によると、同センターでは「著しく悪臭を発するもの」は受け入れ対象外であるから、「アンモニア臭」「刺激臭」と一時盛んに報じられたような埋設物を実際に同センターに持ち込むことは不可能であろう。

 

さて、上記2件の価格はどちらも見積額であるが、本件に関して言えば「実績額」と呼べる価格が存在している。

それはこちら

森友学園問題:「業者側の記録」文字起こし - barelo's blog

で挙げられている、「@4,800円/t」と「@38,500円/t」という価格である。

これら価格について、上記文字起こしを引用していただいた

反戦な家づくり 【森友疑獄事件】2015年9月4日 すでに1.3億円売却は内定していたのではないか

では「@4,800円/t」を「異常に安い」、「@¥38,500/t」を「ベラボウな金額ではない」と評されている。

このあたりの相場観が、不動産や土建業界の事情に無縁の私には全くわからない。

果たして22500円と13932円のどちらが実相に近いのか。あるいは全く別の単価になるのだろうか。知見のある方のご意見を賜りたいところである。