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森友学園問題:「予算措置」と「ゼロ回答」にまつわる議論

谷査恵子氏送付のFAX文面において

4)工事費の立て替え払いの予算化について

一般には工事終了時に清算払いが基本であるが、学校法人森友学園国土交通省航空局との調整にあたり、「予算措置がつき次第、返金する」旨の了解であったと承知している。平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中。

という記述があることから、このやり取りを通じて事態に具体的な変化があったとみなし、「ゼロ回答」ではない、という議論がある。

実際に平成28年度予算で返金が行われたので、「満額回答」だという者もいる。

そういう方々は、春闘でベアゼロ定昇のみの回答が返ってきても、定期昇給があるから満額回答だというのだろうか。経団連が大喜びをしそうである。

上記皮肉に対して、いやいやベースアップが行われていないなら満額回答ではないだろう、とツッコミを入れようと思った人は、籠池理事長が何を求めたのかを知らずに議論している。

この点は報道番組で自民党の葉梨議員が解説しているのでそれを踏襲すると、まず籠池理事長は谷氏に送った陳情書の中でこう書いている。(2chで画像から文字起こしされたものに一部筆者が書き足し、葉梨議員の読み上げと合成。文責筆者)

関係してですが、平成27年2月契約事前の段階で、財務と航空の調整の中で、学園側が工事費を立て替え払いして、平成27年度予算で返金する約束でしたが、平成27年度予算化されていないことが9月末発覚し、平成28年度当初に返金されるという考えられないことも生じています。
??11月中に地表工事が終わりますのに、4ヶ月間のギャップはどう考えているのか
???人間の感覚が変です。4ヶ月間の利息は? ふりまわされています。

要望は直接は書かれていないが、要はいつ払ってくれるんだ、早く払ってくれないかということである。籠池理事長は「平成28年度当初に返金される」ことを「考えられないこと」と認識しており、それに不満を訴えているのである。

それをふまえて回答FAX文面を読んで見られたい。平成28年度当初の返金ではご不満のようですが、これこれこういう理由なので、やっぱり平成28年度に返金しますということを丁寧に書いてあるだけである。籠池理事長の要求には一切応じておらず、不満は全く解消されていないはずだ。

また、平成28年度に予算措置がされることは籠池理事長が既知のことであるから、新たな情報を知らせたわけでもない。合意のあることを合意通りに実施しますと言っているのだから、何か事態に進展があったわけでもない。

森友学園は資金繰りに相当に難があったのであろうか、この陳情書に効果がなかったと見て、役人を呼びつけて籠池夫人が怒りをぶちまけるといった直接的働きかけをしたけれども、国側はそれに対し、なんとか工面して年度内に支払うであるとか、予算で都合のつく一部を返金するであるとかの便宜を一切はからなかった。そして、籠池理事長が「考えられないこと」と評したままの、平成28年度当初での返金となった。

「忖度」の有無については個々の官僚の内心であるから判別のしようがないが、事実経過としては当初予定と何ら変わらぬ過程で処理されている。

要するに、前掲FAX文面は「1を2にしてくれないか」という依頼に対し「1とする」と回答したということである。それを「1と回答したのだからゼロ回答ではない」というのはおかしい。

一見何かあったようにみえるのは、「予算措置」「調整中」といった単語のイメージに引きずられているだけであろう。

それでもなおこれがゼロ回答ではないと言いたいのであれば、ではこのやり取りがなかった場合、有益費の処理について、どのように事が進むはず/べきであったのかを示されたい。

歪められていない正常手続きが想定できていなければ、事態の経過が異常であったことの判別はできないはずだからである。

 

また、返金が年度開始直後の平成28年4月6日に速やかに行われたのがこのFAXの影響だとする議論も、同様の愚論である。

工事終了から年度開始まで4ヶ月が経過しており、それだけの期間があれば必要な事務手続きは事前に全て終わっていて当然だろう。

「一般には工事終了時に清算払いが基本」なのであるから、準備が整っていれば、予算措置がつき次第即座に返金をするのが誠実かつ自然ではないか。

これもやはり、平成28年4月6日の返金が不自然と論じるのであれば、本来はいつ返金すべきなのか、あるいはその時期に返金してはいけない理由を説明してみられよ。

予め釘を差しておくと、「工事終了時」の「工事」は、校舎建設などを含む、開校に至るまでの一連の全工事のことではない。これはあくまで貸付契約における「土壌汚染除去等費用の処理」に関する事案だからである。

 

蛇足になるが、たとえ「ゼロ回答」だったとしても、問い合わせの仲立ちをしたことが関与・口利きにあたるという議論は成立しうると思う。

野党らは、無理のあるゼロ回答否定論に拘泥するのをやめて、そちらの理屈で迫ったほうがいいだろう。