森友学園問題:朝日のやらかし疑惑について(追記あり)

[追記]

3/9の朝日朝刊によると、契約当時の文書には

1.事案の概要

学園から早期に本件土地を買受けたいとの要請を受けて、価格等について協議した結果、学園が買受けることで合意

との記述があるそうである。

となればこれは予定価格の決定の決裁文書ではありえないし、和田議員が示した「予定価格の決定」決裁文書の1.事案の概要にも当然ながら該当する部分が存在しないため、この2枚の決裁文書の取り違え説は成立しないと見て良いだろう。

下記は記事を書いた段階で得られる情報の中で書いたものなので、そのまま残しておく。

 

こちら

https://mainichi.jp/articles/20180308/k00/00e/040/287000c

とこちら

朝日新聞さん、まさか文書を取り違えてはないとは思いますが。。。|参議院議員 和田政宗オフィシャルブログ Powered by Ameba

に関連して、私は本件は今のところ朝日新聞がやらかした説を有力視しているので、それについて記す。

番号が一致しているという論点について

朝日が取り違えていないだろうという根拠の中で有力と思われるのが、朝日は番号を確認しているという点である。

森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える:朝日新聞デジタル

内容が変わっているのは、2015~16年に学園と土地取引した際、同省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書。1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯や取引の内容などが記されている。

 朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。

決裁文書の実際の構成は、以下から参照できる。こちらは既報により、「国会議員らに開示した文書」と同一のものである。

https://www.minshin.or.jp/download/37616.pdf

確かに1枚目に決裁の完了日(H28年6月14日)・決裁印・起案日(平成28年6月13日)・番号(ES第28号)が記されている。

一部では「決裁番号」という書かれ方がされているが、朝日の記事にも決裁文書にもそのような名目の番号は書かれていないので、起案番号である「ES第28号」が、朝日が文書の同一性を判断した基準と見て良いだろう。(ただしこのあたり、私は役所の実務については全く無知なので、トンチンカンな事を言っている可能性あり)

そして2枚目以降を見ると、「調書」が数ページに渡って続く。この調書の内容が書き換えられた疑いがあるというのが、本疑惑の焦点である。

ここで問題となるのが、調書の部分については、それが「ES第28号」と紐づくものであるという情報が欠けているところである。

上記資料をもう少し先に読み進んでいくと、調書以外の書類には右肩に「ES第28号」との記述があり、1枚目との紐づけができるのであるが、肝心の調書に関してはそのような記述がない。決裁完了日・決裁印その他の情報もない。

従って、1枚目の番号等々で同一性を確認したところで、2枚目以降の調書もやはり当該決裁のものであるということを確認することは不可能である。

何らかの理由で調書の部分が入れ替わった決裁文書を読んだ場合、誤認してしまうことはあり得ることである。

 

時系列のおかしさについて

書き換えられた箇所(の中の1点)について朝日はこう書いている。

売却契約の際の決裁文書では、契約当時の調書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」という文言があったが、開示された文書ではなくなっていた。

しかし上記資料の調書を読むと、pdf3頁 5.価格決定及び契約方法についての(4)はこうなっている。

(4) 未利用地を公共団体等に随意契約を行う場合、近畿財務局は相手方と見積り合わせを行って売却価格を決定しているが、本地については、学園において地下埋設物の撤去費用を積算することが困難であると考えられたことから、平成28年6月1日に学園に価格提示を行った結果、学園から買受ける意思表示がなされた。

まず、開示済みの文書においても「学園に価格提示を行った」という、そのものズバリの文言は存在しており、なぜこの文書がこれまで大きく取り上げられなかったのかが不思議である。

そして私が決定的におかしいと思ったのが、朝日が確認した「価格提示を行う」という表現だと、価格提示が今後行われるかのような意味合いになるからである。

毎日新聞の記事と決裁文書に記載された日付を総合すると、このあたりの時系列は以下のようになる。

2016/5/xx 予定価格決定。価格を森友学園へ通知することに関して決裁がなされる。

2016/6/01 森友学園に価格提示。学園と売買の合意を得る。

2016/6/13 売却決議を起案。

2016/6/14 売却決議が決裁される。

再び上記資料の1枚目に立ち返っていただきたい。特記事項には

決裁後は、別案1により相手方に契約通知を行った上、別案2により契約締結してよろしいか。

また、別案3~7により大阪航空局宛て通知してよろしいか。

とある。これが決裁されたらもう契約しますよ、という段階での起案なのである。これから価格提示を行い、学園との合意があったらという段階の話ではない。

「価格提示を行う」という文言は、「予定価格の決定の決裁文書」にはふさわしいが、「売買契約の決裁文書」にはふさわしくない。

売買契約の決裁文書であれば、「価格提示を行った」と、まさに開示済み文書のとおりに過去形で書かれるべき事項なのである。