産廃の処分費用はいったいいくらなのか

「国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」という会が、民間業者に依頼して埋設物撤去費用の独自試算(以下平野試算)を出している。

国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会 » 仮に国の地中埋設物の量があったとしても地中埋設物の撤去費用は3億7080万7728円で、4億4893万4219円が水増し

 

平野試算の資料を見てみると、差額の大部分は産業廃棄物の処分費用単価の差と、間接工事費の設定割合の差からくるものであることが分かる。

産廃処分費用単価について、国は22050円とし、平野試算では13932円としている。

間接工事費については、共通仮設費について国が6.99%、平野試算が2.92%、現場管理費について国が24.74%、平野試算が6.13%となっている。

本記事ではまず産業廃棄物の処分費用単価について考察していく。

 

国の価格の根拠は「複数事業者の価格を比較」ということである。

これではどの事業者を参考にしたのかが不明である。本当に参考にしたのか、参考にした対象は適切であるかなどの評価ができない。「鉛筆なめなめ」してでっち上げた価格である可能性を、現状では否定できない。

国側はこれまで地下埋設物撤去費用について、「公的な積算基準に基づくもの」という説明を繰り返してきた。しかしその大部分(直接工事費約5億円のうち約4億円)を占める産廃処分費用については、積算基準とは無縁の根拠によって見積もられていると言って良いだろう。

ただしこれが実際より割高であるとは限らない。工事費が一定額を越えてしまうことは、国にとっても不利益をもたらすからである。(前記事参照)

 

平野試算の根拠は「建設物価」記載の「大阪湾広域臨海環境整備センター」の「廃プラスチック」の受入価格である。

ここで疑問を感じるのが、件の土地から排出される産業廃棄物を「廃プラスチック」と区分して良いのか、という点である。

廃棄物の受入基準 - 大阪湾広域臨海環境整備センター

によると、廃プラスチックの受け入れ基準は

  • 最大径がおおむね15cm以下に破砕されたもの。ただし、中空のもの、有害な物質が付着し又は含有するものを除く。
  • 焼却施設により熱しゃく減量10%以下に焼却されたものであって、判定基準を満足するもの。
  • ばいじんにあっては、⑥ばいじんの受入基準を満足するもの。

となっており、安定型の、中間処理を経た産廃を想定しているように読める。

しかし地中に埋まっていたのは「廃材、プラスチック、生活ゴミ等」のごた混ぜである。平野試算でも中間処理の費用は計上していないから、そのままの状態で処分する前提での見積りのはずだ。

そのような状態の産廃は「管理型産業廃棄物」であり、安定型の産廃に比べると高額な処分費用がかかるのが一般的とされている。

同センターでも管理型産業廃棄物を「その他の産業廃棄物」として扱い、その受け入れ単価は処分料金表によると18468円となっている。少なくともそちらの価格を採用すべきではないだろうか。

こちら

国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会 » 「空港土木請負工事積算基準」での積算についてのコメント(9/14)

の補充鑑定意見書でも13932円を「市場価格」として維持しているが、そのように主張するのであれば、補足説明が必要に思われる。

 

ちなみに上掲受入基準によると、同センターでは「著しく悪臭を発するもの」は受け入れ対象外であるから、「アンモニア臭」「刺激臭」と一時盛んに報じられたような埋設物を実際に同センターに持ち込むことは不可能であろう。

 

さて、上記2件の価格はどちらも見積額であるが、本件に関して言えば「実績額」と呼べる価格が存在している。

それはこちら

森友学園問題:「業者側の記録」文字起こし - barelo's blog

で挙げられている、「@4,800円/t」と「@38,500円/t」という価格である。

これら価格について、上記文字起こしを引用していただいた

反戦な家づくり 【森友疑獄事件】2015年9月4日 すでに1.3億円売却は内定していたのではないか

では「@4,800円/t」を「異常に安い」、「@¥38,500/t」を「ベラボウな金額ではない」と評されている。

このあたりの相場観が、不動産や土建業界の事情に無縁の私には全くわからない。

果たして22500円と13932円のどちらが実相に近いのか。あるいは全く別の単価になるのだろうか。知見のある方のご意見を賜りたいところである。